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2024年03月06日

サンフランシスコのSTIはdoxyPEPの提供開始以降減少した
STIs in San Francisco have fallen since doxyPEP roll-out

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Professor Annie Luetkemeyer and Dr Hyman Scott at CROI 2024. Photo by Liz Highleyman.

性交後に服用する抗生物質ドキシサイクリンは、サンフランシスコにおける性感染症(STI)の発生率を低下させたようだ。

この研究結果は、米国のDenverで今週開催されているCROI 2024で発表された。

DoxyPEP試験では、HIVに感染している、あるいはPrEPを服用しているサンフランシスコとシアトルの同性愛および両性愛男性とトランスジェンダー女性500名超が登録された。この無作為化試験はdoxyPEPのクラミジアと梅毒に対する高い有効性が分かったことで、予定より早期に中止された後、試験参加者全員が結果について知らされ、非盲検でdoxyPEPを服用する機会が与えられた。

University of California San FranciscoのAnnie Luetkemeyer教授は、無作為化された段階で、介入群の12%がSTIを発症したのに対し、標準治療群では31%であったと報告した。全員がdoxyPEPを服用した非盲検の延長試験では、STIの発生率は両群でそれぞれ13%と17%であった。標準治療を受けていた人のSTI発生率の急激な低下は、性交のパートナー数とコンドームを使用しない性行為数が短期間に2倍になったにもかかわらず起きた。

2022年10月、サンフランシスコは、同性愛および両性愛男性とトランスジェンダーの人にdoxyPEPを推奨する最初の都市となった。

Hyman Scott医師は、San Francisco AIDS FoundationのMagnet性の健康クリニックから早期の結果を報告した。このクリニックでは、2022年11月の後半から約3,000名のPrEP服用中にdoxyPEPを提供してきた。ⅮoxyPEPを開始した人のSTI発生率は、全体で18%から8%に低下した。これは58%の減少に相当する。減少率は、クラミジア(67%)と早期梅毒(78%)の方が、淋病(11%の低下で統計的に有意ではなかった)よりも大きかった。

Oliver Bacon医師らは、サンフランシスコの主要な性の健康クリニックであるCity Clinicからの早期データを報告した。彼らは、doxyPEPのガイドライン発表前(2021年11月~2022年11月)と後(2022年11月~2023年11月)のSTI発生率を比較した。PrEP投与を受けている同性愛男性やトランスジェンダー女性におけるdoxyPEPの服用率は高く、服用した人の「クラミジアや早期梅毒の陽性率が有意に減少した」。クラミジア検査の陽性率が90%、早期梅毒検査の陽性率が56%減少した。

疫学者のMadeline Sankaran氏らは、doxyPEPの影響を別の方法で評価した。STI発生率の変化を集団レベルで調査した。研究者らは、患者の多い性の健康クリニック3施設―Magnet、City Clinic、San Francisco General HospitalのWard 86―でdoxyPEPを開始した人数と、市のガイドライン発表前(2021年7月~2022年10月)と後(2022年11月~2023年11月)のクラミジア、淋病、早期梅毒の症例を毎月追跡した。

3,700名超の男性間性交渉者とトランスジェンダー女性が、2023年末までに3つのクリニックでdoxyPEPを開始した。市全体で、この集団のクラミジア症例数が、1ヵ月当たり7%低下し、予測されたレベルと比べて合計で50%の減少となった。早期梅毒は1ヵ月当たり3%減少し、合計で51%低下した。淋病の症例数に有意な変化はなかった。

これらの試験をまとめると、doxyPEPはクラミジアと梅毒の新規患者の減少に有効な介入であることを示す確固な証拠を提供するが、淋病に対しては、効果があったとしても有効性がクラミジアや梅毒よりかなり低い。

「公衆衛生において、集団レベルでのサーベイランスと臨床サービスの提供、臨床試験の結果が同時に一致することはあまりない」と、CROIの議長であるUniversity of Cape TownのLandon Myer教授はコメントした。「私の考えでは、これで問題は解決したと思う」

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